ドイツの領土問題 2018 9 17
書名 世界まちかど地政学 90カ国弾丸旅行記
著者 藻谷 浩介 毎日新聞出版
多くの日本人は、「領土問題」というと、
「北方領土」を連想して、そこで思考停止になってしまいますが、
実は、世界の多くの国が「領土問題」を抱えています。
私は、こう思います。
ロシアは、ドイツとの平和が完全に達成できたら、
「カリーニングラード(ケーニヒスベルク)」をドイツに返還すべきだと思います。
日本の「北方領土」と違って、
「ケーニヒスベルク」には「ドイツの栄光」が残るからです。
この都市は、ドイツ史において極めて重要な都市です。
ドイツの栄光であると同時に、ドイツの歴史そのものです。
(私は世界史が好きで、とりわけドイツ史と中国史が好きでした)
もちろん、著者は、こう指摘します。
ドイツは、「カリーニングラード」の返還をロシアに要求していない。
したがって、「カリーニングラード」を、
ドイツの「北方領土」と書いている筆者の表現は正しくない。
しかし、この都市は、ドイツ帝国の主要都市の一つとして発展して、
第一次世界大戦後も、ワイマール共和国の飛び地として残った場所である。
そこが、第二次世界大戦後に、
突然、ロシア人の街にされてしまった。
日本でなぞらえれば、「鎌倉市」が戦後に突然、
ロシアの飛び地になってしまったようなものである。
(引用、以上)
著者は、こうも指摘します。
スターリンは、侵略できる場所ならば、
どこでも侵略したわけだが、
今となっては、その価値よりも、
「維持費」のほうが高くなってしまっただろう。
だから、ロシアとしては、採算の取れない「領土」は、
返却したいところであろうが、うっかり返却すると、
軍事的に重要な「カリーニングラード」を返還することなってしまう。
だからこそ、採算の取れない「領土」も、
意地でも保有せざるを得ないのである。
私が思うに、「カリーニングラード」に、
米軍基地ができたら、大変でしょう。
「オセロ」というゲームがありますが、
地政学の「オセロ」になってしまいます。
それにしても驚くのは、
「スターリンは、侵略できる場所ならば、どこでも侵略した」ということでしょう。
この時代は、ロシアは、「ソ連」という国名でしたが、
一応、「共産主義」という「理想」を広める大義名分があったはずですが、
結局、共産主義も「侵略主義の別名」になってしまったと、
マルクスは驚くでしょう。
「私が発明したものは理想であって、侵略主義ではない」
「共産主義という『標語』を勝手に使われてしまった」
「ソ連は、共産主義から破門したかった」と、
マルクスは言いたいでしょう。